・卵かけご飯が大好きな人
・生卵をよく食べる人
向けの記事です。
結論としては
「生卵は食べないほうがいいよ」
「卵は加熱してから食べよう」
というお話です。
分子栄養学の祖、三石巌先生の著書を参考に解説します。
(ちなみに生卵を食べる習慣があるのは日本だけらしいです。)
なぜ卵かけご飯を食べてはいけないのか
ごはんに生卵を乗せて食べる卵かけご飯。
最近では卵かけご飯専用のしょうゆも販売されているなど人気の料理(?)ですが、
生卵には2つの問題点があります。
・体内のビオチンの吸収を邪魔する
・タンパク質の消化を邪魔する
それぞれみていきましょう。
その1:体内のビオチンの吸収を邪魔する
人間の体内には「ビオチン」という物質があります。
ビオチンは体内の様々な代謝に関わっており、人間にとって欠かせない物質です。
(ビオチンが不足すると起こることについては後述します)
ビオチンは多くの食品に含まれているため不足することはまずない、とされていますが、
それでもビオチンが体内で不足する場合があります。
それは生卵を食べたときです。
「ビオチン」の吸収を邪魔する「アビジン」
生卵の卵白には「アビジン」という物質が含まれています。
このアビジンは腸の中でビオチンと結合し、
ビオチンを水に溶けない物質に変えてしまうのです。
水に溶けないものだから、
ビオチンは腸で吸収されずにそのままトイレに流されてしまいます。
こうして体内でビオチンが不足することになります。
ビオチン欠乏症
そしてビオチンが不足した場合に起こりうる症状は
・皮膚炎
・にきび
・ふけが出る
・髪が抜ける
・白髪になる
・粘膜の炎症
・倦怠感
・疲労感
・筋肉痛
・不眠
・味覚障害
など。
人間が健康的な生活をおくるためにはビオチンが必要です。
そして、生卵さえ食べなければビオチンの不足はまず起こりません。
その2:タンパク質の消化を邪魔する
生卵の卵白には「オボムコイド」という成分が含まれています。
そしてこのオボムコイドにはタンパク質の消化を妨げる作用があるのです。
つまり生卵を食べてもその卵のタンパク質はうまく消化されないということ。
生の卵白を3こ食べたとしても、1.3こ分はそのままトイレ行きです。
卵は栄養満点のスーパーフードですが、
生の状態で食べては体にうまく吸収されないのです。
もしかしたらテレビなどで
「卵は栄養満点です!卵かけご飯を食べましょう!」
というアドバイスがあるかもしれませんが無視しましょう。
生のままではせっかくの栄養も無意味です。
卵は加熱して食べるべし
では卵は食べてはいけないのか、というと決してそうではありません。
むしろ筆者は積極的に食べるべきスーパーフードだと思います。
問題なのは生の状態で食べることです。
つまり火を通せばすべての問題が解決します。
実は「アビジン」も「オボムコイド」も加熱することで破壊できるのです。
アビジンとオボムコイドが壊れてしまえば、
ビオチン欠乏の問題も、タンパク質の吸収の問題も起こりません。
ですから卵は必ず加熱してから食べましょう。
具体的には、卵白が白くなるくらいまで熱が通れば大丈夫です。
生でなければ、温泉たまごでも、半熟卵でも、ゆでたまごでも、なんでもよいです。
まとめ:卵は加熱してから食べよう
まとめます。
・生卵の卵白に含まれる「アビジン」は「ビオチン」の邪魔をする。そして、「ビオチン」が機能しないと健康上の問題が起こる。
・また、生卵の卵白に含まれる「オボムコイド」はタンパク質の消化を邪魔する。
・しかし、「アビジン」も「オボムコイド」も加熱することで破壊できる。
・したがって卵は加熱してから食べるべきである。
ちなみにビオチンは腸内細菌によっても作られます。
ということは、抗生物質を長く服用している人は腸内細菌が減っているため
ビオチンが不足する可能性があります。
生卵をよく食べる方、抗生物質を日常的に飲んでいる方で
上述したビオチン欠乏症にあてはまる方は、
ビオチン不足を疑ってみてください。
(もちろんビオチン不足が全ての原因ではないですが)
ビオチンは卵の卵黄にも含まれているので、
きちんと加熱してから卵を食べることでビオチンを補給することが出来ます。
ビオチンをきちんと機能させて健康的な生活をおくりましょう。
この記事が健康のお役に立てれば幸いです。
参考文献
Nice try
ドイトでネジを買う